全身脱毛のレビュー
簡単に言えば、永久脱毛により近い形で脱毛するためには、そのときに生えている毛を抜くだけでなく、毛が再生してくるのを防ぐ必要があります。
そのためには毛の再生中枢である峡部毛鞘と呼ばれる部分を破壊しなければなりません。峡部毛鞘は皮脂腺の開口部のすぐ下、深さ0.512ミリメートルのところにあります。
脱毛用のレーザーは、毛のメラニン色素に吸収された後、毛の内部を伝わって、峡部毛鞘や毛根に熱エネルギーを伝えて毛包全体を破壊しますので、レーザー光線を十分吸収するだけのメラニン色素をもった毛が存在しなければならないのです。このため退行期や休止期の毛では不十分というわけです。
また、毛の寿命も、やはり人間と同じように1本1本の毛によってさまざまです。さらに毛の色や太さ、長さもいろいろです。
年齢や個性の違う人が混在するように、からだのいろいろな部分に生えている毛は、同一ではなく、皆それぞれ違います。ですから、レーザー光線を1回照射しただけですべての毛を脱毛することは難しく、また、脱毛にかかる時間にも個人差が出てくるのです。
毛の発育には、性ホルモンが大きく関与しています。思春期のころに体毛の生え方に大きな変化が起こるのは、性ホルモンがさかんに分泌されるようになるからです。
体毛の発育に一番影響するのは男性ホルモンであるアンドロゲンです。思春期になってこのホルモンの分泌量が増えると、眉毛やヒゲをはじめ、髪をのぞく全身の毛が硬く濃くなります。
髪の毛の成長をうながすのは女性ホルモンであるエストロゲンです。これらの性ホルモンのバランスが崩れると、体毛が濃くなったり薄くなったりします。
毛には、髪の毛、眉毛、わき毛、胸毛、陰毛、すね毛などいろいろあります。毛の構造はすべて同じですが、生えている場所によって働きが違い、毛周期や太さ、長さなども部分ごとに違います。
たとえば、男性のヒゲなどは非常に濃く、朝剃っても夕方には生えてきます。しかし、女性の腕の毛などは薄いし伸びる速度も比較的遅いのです。
レーザーを使えば、うぶ毛も含め、こうしたすべての毛の脱毛が可能です。脱毛法あれこれこの章でお話しするレーザー光線による脱毛が行われるようになるまでは、電気針による脱毛が行われてきました。
こうした電気的な脱毛のほかにも、脱毛剤を利用した方法も広く行われてきました。脱毛剤による方法には、加熱溶融したワックスを塗り、固化したのち、はがすと同時に脱毛する物理的な方法チオグリコール酸カルシウムが、強アルカリ(のもとでは毛の主成分であるケラチンを還元し、溶解するという作用を利用した化学的な方法の2つがポピュラーです。
脱毛用に使われるレーザーは、アレキサンドライトレーザーです。レーザー光線による脱毛は、従来行われていた針脱毛に比べ、時間は約10分の1に短縮されるほど速くなりました。
しかも、皮膚を痛めることもなく、2〜3回のレーザー光線の照射によって脱毛できるのです。そして、脱毛した後は、濃くて太い毛の再生はほとんどなく、生えてきたとしても短くて細い毛なので気になりません。
したがって、永久脱毛といってもよいくらいの効果が得られるのです。また、これまでどんな方法でもうまくいかなかったうぶ毛の脱毛もできるようになりました。
脱毛した後の皮膚もつるつるになります。レーザー光線による脱毛は、まさに革命的な脱毛法ということができます。
レーザー光線による脱毛は、毛にメラニン色素が含まれることを利用して、メラニン色素によく吸収されるレーザー光線を照射し、脱毛しようというものです。脱毛したい部分の皮膚に照射されたアレキサンドライトレーザー光線は、1回の照射によって直径3ミリメートルの範囲に作用し、その範囲内の成長期にある毛を破壊していきます。
照射後、一時は毛のメラニン頼粒に貯留され、その後、熱エネルギーとなって放射され、毛の再生中枢と考えられる峡部毛鞘を含めた毛包全体を破壊してしまうことで、いわゆる永久脱毛を可能にしたのです。具体的に脱毛にかかる時間は、脇毛で片側2〜3分、すね毛で片側2分くらいです。
皮膚に傷をつけることもなくアフターケアの手間もかからない脱毛が、超スピードでできるようになったわけです。脱毛用レーザーはどうやって開発されたの?レーザー光線による脱毛が大きく進歩するきっかけとなったのは、偶然のできごとでした。
1990年代はじめ、H大学では目の周りによくある先天的な青アザである太田母斑に対する、Qスイッチ・ルビーレーザーによる治療が行われていましたが、この治療のときに、偶然眉毛にレーザー光線が当たり、その後眉毛がなかなか生えてこなかったことに注目が集まったのです。アザ治療用のレーザー光線で脱毛が起こった原因は、レーザー光線が毛や毛球部のメラニン色素に吸収され、毛包全体が破壊されて、毛が再生できなくなるためだろうと考えられました。
H大学のW研究室では、1995年頃から、レーザー光線による脱毛の研究が本格的に始まりました。アザ治療の場合は、レーザー光線を照射した後、数日で表皮がカサブタとなり、それがとれて普通の皮膚の状態になるまで、1〜2週間かかります。
アザをとるためならともかく、レーザーで脱毛した部分が全部カサブタになってしまうというのでは、治療を受ける人も満足できないでしょう。脱毛用のレーザーに求められるものは、単に脱毛できればいいというだけではなく、皮膚に変化を与えずに脱毛を行うことです。
ところが、メラニン色素は表皮にも含まれています。普通に考えると、皮膚の深いところにある毛を破壊できるほどのエネルギーを照射すると、最初にレーザー光が当たる表皮のほうが早く焼けてしまうのは当然です。
また、白人は皮膚の色が白く、表皮のメラニン色素の量が少ないため、表皮が焼けづらいのですが、日本人などの有色人種は、よほどうまい方法を考えないと、脱毛と同時にやけどを負いかねません。当時は毛の再生中枢は毛根だと考えられていたので、H大学では、選択的光熱溶解理論を応用して、表皮を傷つけずに毛根だけを破壊するためにはどんなレーザーを使えばよいかを考えました。
やはり、毛根を破壊するためには、毛根に分布するメラニンに吸収されるレーザー光線を使用する必要があります。そこで、ルビーレーザーを使って実験を開始しました。
このうわさを聞きつけたヨーロッパのレーザーメーカーも、いっせいにルビーレーザーを使って脱毛用レーザーの開発に乗り出したのです。レーザーメーカーやH大学で脱毛用レーザーの研究が始まったころ、Dgという皮膚科医も、違った立場から脱毛用レーザーの研究を始めました。
それは、毛根にレーザー光線が吸収されやすい色をつけることで、毛根だけを破壊しようとするものでした。まず、毛をワックスで引き抜き、そこにカーボンを含んだ水溶液を塗り込んで、毛根に色をつけます。
そうしておいてQスイッチ・ヤグレーザーを照射すると、レーザー光線はカーボンに吸収され、毛根を破壊すると考えたのです。このDgの脱毛用レーザーは、ほかに先駆け1996年にアメリカ食品医薬管理局の認可を得て実用化されました。
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